現在位置: ホーム / TinBlog / サイフォンの原理と大気圧・その3

サイフォンの原理と大気圧・その3

作者: h2 最終変更日時 2011年02月16日 00時15分 |
カテゴリー: ,

サイフォンの原理については別記事を、前回までの記事はその1その2をご覧下さい。

 

「サイフォンの原理と大気圧とは無関係なんだよ」と解説を試みてみよう、その3。


サイフォンの原理を説明する際に、大気圧は無関係であることを述べてきたわけだ。だが、大気圧がなくてもサイフォンの原理が発動するのかというと、さにあらず。それでは、大気圧は、サイフォンの原理で、どのような役回りを演じているのだろうか。


そのあたりを解明する前に、ここでひとつ、サイフォンの原理が発動するために必要な条件をまとめてみよう。

  1. 適度な重力
  2. 丈夫で適度な太さのホース(パイプでも可)
  3. 一定以上の滑らかな流動性と表面張力を持つ液体
  4. 大気圧

そのほかに、液体を溜めておくための容器だとか、サイフォンの原理を観測するに足る量の液体だとかあるが、このあたりは省略しても良いだろう。


では、順に見てみよう。


1.の重力について。

無重力あるいは低重力下では、サイフォンの原理は発動しない。ある程度以上の重力が必要となるわけだが、これについては別記事で解説しているので、ここでは割愛。


2.のホースについて。

まず、ホースが丈夫である条件についてだが。もし、ホースがペラペラのポリ袋のような材質だとしたら、どうなるだろうか。試してみると、

潰れたホース

このように、ホースがぺちゃんこに潰れてしまい、水は流れなくなる。つまり、サイフォンの原理において、「丈夫なホース」は必要不可欠な条件、というわけだ。

では、ホースの太さについては、と言うと、これについては次項の「液体の流動性」と絡む問題なので、次で。


3.の滑らかな流動性と表面張力を持つ液体について。

一般的に、サイフォンの原理を観測する時は水を使うわけだが、本来、サイフォンの原理とは、「液体全般」を対象にしている原理だ。では、試しに「水飴」のような、ドロドロでデロンデロンな液体を使ったとしたら、どうなるだろうか。結論から言うと、サイフォンの原理は発動しない。液体の流れは、

サイフォンに空気混入

このようになる。液体の流動性が悪いために、ホース内での液体の流量が不十分になり、ホースの端から赤い矢印で示したような経路で空気が混入してしまうのだ。こうなってしまうと、ホース内の液体が、混入した空気で分断されてしまい、液体の流れが寸断されてしまう。

この現象は、液体の流量に対してホースの径が太すぎた場合や、液体の表面張力が不十分でホースの口から容易に空気が混入してしまうような場合でも発生する。


4.の大気圧について。

大気圧がなくなると、どうなるかというと、

ホース内の負圧#3

こうなる。前回提示した図だが、灰色の部分が真空であるものとする。別記事の解説で、「サイフォンの原理とは、落下する水の綱引き」であると喩えたのを思い出して欲しい。ここで大気圧がなくなってしまうと、水同士の綱引きが成立しなくなるのだ。つまり、

ホース内の水の動き#3

このような状態で、赤い金魚と黒い金魚が互いに別方向に落下したとしても、その間が真空となってしまい、綱引きが成立しなくなってしまうのだ。



さてさてさて。以上をざっと見回してみると、2,3,4の条件について、演じている役割が見えてきたと思う。

これらの条件は、水同士が綱引きをする過程で、綱が切れないようにするための条件となっているのだ。

翻って、1の重力は、というと、これは実際に綱引きをする力となっている点に注目。これが、原理の原理たる所以だったりする。


まだよくわからない場合は、それぞれの条件を「原理」だとした解説文を妄想してみると良いだろう。

2について、「サイフォンの原理とは、丈夫なホースによって説明される」。

3について、「サイフォンの原理とは、適度な流動性と表面張力によって説明される」。

これらの解説は、いかにも奇妙に聞こえる。だが、サイフォンの原理が発動する上で、いずれも必要な条件であり、そして演じている役割としては、大気圧と同じなのだ。

というわけで、

4について、「サイフォンの原理とは、大気圧によって説明される」。

についても、内容としては2,3と変わらない文章、ということになる。


 

タグ: ,
« 2019 年 2月 »
2月
12
3456789
10111213141516
17181920212223
2425262728