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サイフォンの原理と大気圧・その2

Posted by h2 at Feb 04, 2011 01:40 AM |
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サイフォンの原理については別記事に、前回の記事はその1をご覧下さい。

 

というわけで、「サイフォンの原理と大気圧とは無関係なんだよ」と解説を試みてみよう、その2。

 

圧力に関する誤解で、「ホース内の負圧がバケツの水を吸い上げるために」サイフォンの原理がおこる、というのがあった。

いかにもそれっぽく聞こえる解説だし、「負圧」なんて、それっぽい単語も出ていたりしている。負圧というのは、圧力が低くなった方に水が吸い寄せられる(吸い上げられる)現象のことを言っているのだろう。そう考えると、この誤解が、「ストローを吸うと水が上がってくる」ことや、「サイフォンの原理を発動させるのにホースの端から空気を吸い込んで呼び水をする」作業から生まれたのではなかろうかと思われる。

 

では、本当にそうなのかを検証。わかりやすいように、ホースのど真ん中に、負圧の最終形態「真空」を作ってみることにする。

ホース内の負圧#1

上図の中で、灰色にした部分が真空状態だとしよう。

「ホース内の負圧がバケツの水を吸い上げる」というのは、この真空状態の部分に水が引き寄せられる、と言う意味だとすると、

ホース内の負圧#2

こんなイメージか。

 

「真空(灰色の部分)による負圧で、水面が矢印aの方向に引き寄せられる」。実際の実験をした場合でも、確かに水面は矢印aの方向に移動する。

一見正しそうなのだが、この説明は正確ではない。水面が移動するのは事実だが、真空が水を引き寄せているわけではない、という点に注意

試しに、ホースの外も全て真空にしてしまったときのことを想像してみよう。

ホース内の負圧#3

こうしてしまうと、もはや「負圧」なるものは発生しない。つまり、水面は吸い上げられなくなる

 

さて、そうなると、負圧なるものの正体が、おぼろげに見えてきたと思う。つまり、水面が矢印aの方向に動くのは、

ホース内の負圧#4

大気圧Aがバケツの水面を押しているからだ。

 

というわけで、負圧と称しているものは、大気圧と同じものである、と言うことになる。

さてさて。ここで、「じゃあ、やっぱりサイフォンの原理は大気圧じゃないか」と短絡しないように。

 

思い出してみよう。

 

確かに大気圧は、水面をAの方向に押しているが、

大気圧の関係

ホース内の水面も同じ力でBの方向に押しているのだ。

 

・・・ということは、とどのつまりが、

ホース内の負圧#5

ホースの外側にある水は、大気圧Bによって、矢印bの方向に引き寄せられているわけだ。

 

そして、大気圧A大気圧Bは等しい(A=B)。よって、水の重さを無視した場合(水の重さを勘定したければ、それが重力によるものであることを認めるしかない)、負圧と称する矢印a矢印bの力もまた、パスカルの原理により等しくなる(a=b)。バケツの水は矢印aの力で吸い上げられるが、同じ大きさの力で、ホース出口側の水も矢印bの力で吸い戻されていることになるわけだ。

とどのつまりが。

プラス・マイナス・ゼロ

 

というわけで、やはり水は永久に流れない。 

つまり、サイフォンの原理と大気圧は無関係である、ということだ。

 

閑話休題。

 

前回、今回と、「大気圧は無関係」と書いているが、ここで誤解無きように記しておくと。

「大気圧が存在しないと、サイフォンの原理は発動しない」のは事実だ。

単に、サイフォンの原理の解説として大気圧を用いるのは不適切である、と言っているわけなのだが。

この「必要な条件」と「原理」を混同してしまっている人も多いようだ。

このあたりの話については、また後日。

 

 

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