実践-人物編#3
モデリングの手順を確認
始める前に、手順を確認。赤ずきんちゃんのモデル全体を、どのようなパーツで立体として組み上げるのか、を事前に切り分けておく。
まずは、一番目立つ頭巾。このパーツについては、「状況によって脱がせる」ことが出来るパーツとしたい(頭巾を取った姿については、今回は作成する予定はない)。従って、このパーツは胴体のパーツとは切り離して、別のポリゴンメッシュとして作成する。
次に、髪の毛。ローポリの鉄則「見えない部分のポリゴンは削る」ことを考えると、作成する必要があるのは、前髪と、頭巾の横から飛び出している房の部分だけ。ただし、頭巾を取った姿の時は、当然全ての髪が必要になる。そして、頭巾を取ったときは、横から飛び出している房の部分についても、形が大きく変わる。このことから、髪の毛についても、頭巾と同様に別メッシュとしておいて、必要に応じて簡単にすげ替えられるようにしておく。また、テクスチャの問題(詳しくは後述)があるため、頭巾ともメッシュを一体化はしない。
さらに、顔。この部分については、表情の変更をテクスチャのすげ替えによって実現させようと計画している。そして、shadeの制限である「一つのポリゴンメッシュには、一枚のテクスチャのみ」ということを考えると、顔面部分についても別のポリゴンメッシュとするべきだろう。
そして、スカート。結構やっかいなパーツだ。頭巾とは違い、脱がせる予定のないパーツなので、胴体と一体化してしまっても構わないのだが。ひらひら、ふわふわ動かすためには、当然ポリゴンの分割数を増やす必要が出てくる。この状態で、胴体部と無理に接合すると、スカートのポリゴン分割数につられて、胴体のポリゴン分割数が増えてしまう可能性がある。このパーツについては、一体化するかどうかは、作成してみた塩梅で決めよう。
最後に、小物類。ブレスレットとバックルだ。こいつらについては、全て別のポリゴンメッシュとして作成して、テクスチャもそれぞれ独立したものを割り当てる。
だいたい、このような感じで作成して行けば良いのではないだろうか。
赤ずきんちゃん本体の作成
・・・の前に。今回の人物編では、作業進行の表記を少し変える。というのも、製作の作業自体は、前回の小動物編と大きくは変わらないと思われるからだ。というわけで、この先は、製作進行をダイジェスト形式で列挙してゆき、トピックがある場合は、都度コメントして行く形式にしようと思う。展示室と同じような感じで、画像をクリックすることで、画面と作業内容のコメントを確認する感じで。下部にある「前」「次」で連続してみられます。
というわけで、まずは胴体の作成。胴を直方体から作成して、それに手と足を接合する。特に断らないが、各ステップで、造形とポリゴンのマージ(ポリゴン減らし)を適宜行っているので、あしからず。
つづいて、上着とズロースを作成。この二つは、サイズの変形を伴う作業なので、肘や膝の関節は、この二つを作り終えてから分割した方が良い。服ができたら、各関節を作成して、全体を整え直す。
手と足(靴)の作成
まずは手を作成。自由曲面で作成したものも含めて、何度作成しても、なかなか思い通りに作れないパーツだ。とにかくバランスが難しく、なかなか納得のいく形状にならない。・・・が、悩んでいても始まらないので、とにかく作成してみることにした。なるべくポリゴン数は押さえたいが、今回に関しては、各指は完全に独立して動くようにしたい。そこで、以下のように作成してみたのだが、結果は三角ポリゴンで344面となった。手に関しては、自分の場合は、このぐらいのポリゴン数が、完全に自由に動かせる手の下限ポリゴン数、ということらしい。
次に、靴の作成。履かせているのは木靴なので、変形しないぶん、気楽にポリゴン分割できた。歩いているときに、カコカコと小気味よく鳴り響くような形状を目指して作成した。
頭部の作成
だんだん形状が整ってきたところで、顔面を作成する。頭から先に作成する人も多いようだが、全身のバランスを取る意味では、体から先に作った方がやりやすい。少なくとも、自分の場合はそう。というわけで、ようやく頭。今回は、目や口もすべてテクスチャ切り替えにしてしまう予定なので、形状自体はとてもシンプルだ。
つづけて、耳を作成。耳の内側の襞は、ポリゴンを作ると細かくなりすぎるので、テクスチャで描画する。
合わせて、顔全体を三角ポリゴン化してから、胴体と接合。顔を別ポリゴンメッシュ化するのは、後で行う。以上で、頭部が完成。
スカートの作成
スカートのように、面積が広い割りに、形状としては比較的単純というものは、自由曲面をクッションにして作成することにする。前半で、自由曲面によるスカートの造形を、後半で、疑似ポリゴンメッシュを利用したポリゴンリダクションを経て、最終的にポリゴンメッシュのスカートを生成する。
次に、エプロンを作成する。エプロン部分については、境界となる線が、全図面に描き込まれているので、これを元に作成する・・・予定だったのだが。 いざ作り始めてみると、側面図と背面図で、エプロンの曲線部分が一致しないことが判明した。これは、とりもなおさず、絵を描いたときに頭のなかで描いていた立体形状に問題があった、ということだ。3Dモデリングを始めてからこちら、この手の「思い込み形状」のズレというものを、まざまざと見せつけられている。まだまだ未熟だ、自身のデッサン力を向上させねばなるまい。
もっとも、このおかげで、「間違って思い込んでいた」立体把握が、随分と矯正された。特に顕著だったのが、「人間の胴体は、考えていたよりもずっと肉厚」だったことだ。おかげで、いま、昔描いた絵を眺め回してみると、「うわ、薄っぺら!」と、反省しきり。まあ、ダメ絵描いていた当時から、人間の厚み表現がどうしても上手く行かず、難しいと感じていたのだが。原因は、こんな所にあったわけだ。ああ、みっともない。
閑話休題。エプロンの境界線については、背面図が一番立体に合致する描き込みだったので、今回は背面図合わせで作成した。
赤ずきんの作成
いよいよメインディッシュ。赤ずきんの作成を行う。全体的にこんもりとした形にしたいが、スカートほどクネクネ動かす予定はない。とりあえず、今回は、いろいろ実験的な要素も交えつつ作成してみることにした。
つづけて、結び目の部分を作成。基本はエプロンのリボンと同じだが、紐には厚みを持たせたい。というわけで、いままで試したことがないパターンだが、ここは線形状の記憶-掃引を利用して作成してみた。
以上で、頭巾が完成。ほどよくポリゴン数を押さえたかったが、最終的に250面強となってしまった。これは、造形に使った手法のうち、「疑似ポリゴンメッシュの状態で稜線を追加」していたのが良くなかったのではないかと思われる。だが、これ以上ポリゴン数を減らすかどうかについては、全身のパーツが揃った段階で決めることにする。
ついでに、蝶々結び繋がりで、エプロンのリボン部分にも少し手を加えた。
髪の毛の作成
最後に、髪の毛を作成。顔面のポリゴンメッシュと、頭巾のポリゴンメッシュの隙間を塞ぐようにして作成してやる。今回作成するのは、結構シャギシャギした髪の毛だが、リアルと言うほどリアルな髪ではない。かといって、全ての「シャギ」をポリゴンで作ってしまうと、それはそれで間抜けなポリゴン数になること請け合い。どうしようかと考えていたところ、丁度リアルタイムで遊んでいる「トトリのアトリエ」というゲームで、似たような感じの髪の毛をポリゴン化していた。同じようなパターンで作ってしまっても良いのだが、この方法だと、どうしても前髪が額に貼り付いているように見えてしまう。というわけで、どうせ実験要素満載なのだから、と、ここでも派手に実験をかますことにした。
以上で、ポリゴンメッシュ化の第一段階が完成。長かったような、そうでもなかったような。
未作成の、「胸元のリボン」と「エプロンのポケット」は、非対称パーツなので、半面のUVマップを完了させて、右半身を生成したのちに、改めて作成する。
ブレスレットとバックル、及び腰の紐は、さらにその後。
というわけで、現時点のモデルを再確認。
全身は、こんな感じ。
ブラウザ上の、オブジェクト一覧。
そして、左半身のポリゴン数。
ちょっと多めかな・・・
というわけで、次回は、全身のポリゴンを再整理したのち、UVマッピングを行う。つもり。