実践-小動物編#2
モデルガイドを設置
モデリングを開始する前に、実際に作成するモデルのアタリを取るために、ガイドとなる立体を配置する。
正面図や側面図など、三面図を正確に下書きしてある場合には不要となる作業だが、今回のようにアバウトな下書きから立体を起こす場合は、モデル各部の厚みや体積、全体のバランスなどを揃えるために、「下書きの立体版」のようなモデルを配置しておく必要がある。
とはいえ、下書きなので、とことんアバウトに。今回は、サイズの異なる球体を配置して、全体の厚みやバランスを見るガイドとした。
まずは頭。
ご覧の通り、シンプルに球。
残りの主要パーツも、全てシンプルに球。胴体に、両手、両足をくっつけて、
完成。
下絵は、テンプレート設定ウインドウを使用して、一時的に非表示にしてある。
もう少し作り込んでもよさそうに感じるかも知れないが、これで終わり。
冗談みたいに見えるが、大まじめだ。
無論、理由はある。形状をもう少し作り込むとなると、Shadeでは、自由曲面を利用しての造形に移ることになる。だが、これがくせ者で、結構簡単な作業で、かなり本格的な形状を作り込めてしまう。それも、部分的に。自由曲面が得意とするような形状の部分だけ、ヤケに立派な仕上がりになるのだ。
では、なにが問題なのかというと、人にもよるのだろうが、特に自分の場合、つい向きになってバランスの悪い部分の作り込みをしてしまうのだ。それも、自由曲面が不得手としているような部品の細部に至るまで。こうなると、目的を忘れて手段に凝るという、本末転倒の事態に陥る。挙げ句、できあがるのが、ローポリキャラならぬ、自由曲面を使用したムービー向けキャラとなってしまうわけで。
そのようなトホホ事態を未然に回避すべく、ガイドはとことんシンプルにすることにした。手足の厚みなどのバランスが見られれば、それでよい、というレベルで。
というわけで、ガイドは球x6個で完成とする。あとは、このガイドを、以後のローポリ作成の邪魔にならないように、「マウスポインティングなどで、頂点や面が選択されない」ようにしてやればよい。一応、ブラウザ経由で、対象の球をロックすることが出来るが、
これは、あくまでも対象となるモデルが「変形されないように」するためのもので、今回の「ガイドにする」目的には不十分。ロック状態でも「頂点の選択」などは出来てしまうので、たとえば、稜線の追加をしようとしてポリゴンメッシュを操作したつもりが、ガイドの球を選択してしまった、というイライラするような現象が頻発する原因になる。
ガイドにするためには、そもそも選択すら出来ない状態にしないと具合が悪い。
このような設定は、対象となるモデルの名称の頭に「~」(チルダ)をつけることで実現できる。たとえば上の場合、6個並んでいる「球」という名前の部分を、すべて「~球」とすることで実現できる。また、この設定は「パート」に対しても有効で、この場合は、パートに内包されている形状全てに設定が適用される。つまり、パートを作成してガイドの球を放り込み、
このパートの名前を「~ガイド」に変更すると、
以後の作業で、なかにあるモデルは全てガイドとなるので、作業対象から自動的に外れることになる。
これで、心置きなくポリゴンをいじくり回せる。と言うわけで、次回以降、ローポリモデルの作成に移る。