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サイフォンの原理

水槽から水を抜いたり、バケツから水槽にゆっくり水を追加したいときなどに、よくお世話になる原理です。はたして、どのようなものなのでしょうか。

水は低きに流れる

地球の上にあるものは、すべて地球に引き寄せられています。外から力を与えられない限り、基本的に物は下へと落ちてゆきます。水のような液体も、地球の引力で引き寄せられるために、低い方へ、低い方へと流れて行くことになります。この力のことを、重力といいます。川が流れるのも、リンゴが木から落ちるのも、この力によるものですね。しかしながら、水のような液体の場合は、隙間のないホースを使用することで、落下する方向を一部ねじ曲げてやることが出来るのです。

 

ホースを利用して水の経路を作る

大気圧の関係

(1)ホースの水と大気圧の関係

実際に、図で見てみましょう。水を張ったバケツから、ホースを使用して水を流し出す様子を現したものが、右図になります。このとき、バケツの水面には大気圧がかかりますが(図の矢印A)、同じ大きさの大気圧がホース内の水面にもかかります(図の矢印B)。この二つの押し合う力は、面積にかかわらず一定となりますので、ここでは無視することが出来ます。

大気圧に関連したよくある誤解については、ブログ側の記事をご覧下さい。

 

(2)水の綱引き

ホース内の水の動き#1次に、ホース内の水がどう動くのかを見てみます。すでに述べた通り、水は低い方へと流れます。この前提を元に、ホース内の水について見てみましょう。右図の黒い破線を境に、右側の水(赤い金魚)にとっては、低い方はホースの右側の出口になります。このため、右側の水(赤い金魚)は、赤い矢印の方向へ落下しようとします。

逆に、破線の左側の水(黒い金魚)にとっては、低い方はホースの左側の出口になります。したがって、左側の水(黒い金魚)は、黒い矢印の方向へ落下しようとします。このときに、バケツの水面から先の水については、バケツの水圧が掛かりますので、落下はバケツの水面の位置で終わることになります。バケツに向かっている黒い金魚のうち、バケツ内に入ってしまった4匹目の金魚は、バケツからホースに入ってきた5匹目の金魚(つまり水圧)に邪魔されて、落ちることが出来ない、ということですね。

さて、そうなると、ホース内の水が左右どちらに落ちたがるのかについては、バケツから外に出ているホース内赤い金魚と黒い金魚の綱引きにかかってくるわけです。

 

(3)ホース内の水の動き・その1

ホース内の水の動き#2試しに、ホース内の右側の水面を、少し上に動かしてみると、どうなるでしょうか。結果は、右図の通り、右側に落ちようとする赤い金魚が2匹に対して、左側に落ちようとする黒い金魚が3匹となり、黒い金魚が勝ちます。つまり、ホースの中の水は、バケツに向かって落ちてゆきます。ホースには隙間がありませんので、バケツに向かって落ちて行く黒い金魚に引きずられて赤い金魚も全てバケツに向かって落ちて行くことになります。

 

(4)ホース内の水の動き・その2

ホース内の水の動き#3つづいて、ホース内の右側の水面を、少し下に動かしてみましょう。すると、右図にあるように、こんどは右側に落ちようとする赤い金魚が4匹に対して、左側に落ちようとする黒い金魚が3匹となり、赤い金魚が勝つことになります。結果、ホース内の水は、外に向かって落ちて行くことになります。

 

(5)サイフォンの原理

サイフォンの原理さて、ここで赤い金魚に引きずられていった黒い金魚についてみてみましょう。黒い金魚は、バケツに向かって落ちて行こうとしていたわけですが、これは「(2)水の綱引き」で述べている通り、バケツに向かっていく方向が落ちる方向だったから、ですね。ところが、この落ちる方向というのは、右図の破線を越えたところで、左から右に変わってしまいます。つまり、黒い金魚も、山を越えたところで、今度は右に向かって落ちようとするのです。こうなると、右に向かって落ちて行く赤い金魚に、破線を越えた黒い金魚が次から次へと加勢することになります。この結果、バケツの中の水は、どんどん外に流れ出すことになります。これが、サイフォンの原理です。

 

サイフォンの原理を利用して水槽を掃除

サイフォンの原理を利用すると、バケツとホース一本で、水槽のお掃除が楽に出来ます。

 

1.水槽にホースをセット

サイフォンの原理で掃除#1まず、バケツを水槽のすぐ下に置きます。水槽から抜く水を、このバケツで受けるためです。仮に、水槽を庭に置いているなどで、水槽から抜いた水を直に捨てられる環境だった場合でも、必ず一度バケツで受けるようにしましょう。これは、水槽から何リットルの水を抜いたのかを、きちんと把握するためです。また、万が一小さい金魚をホースで吸い込んでしまった場合などでも、バケツで受け止めることが出来るので、ダメージを最小限に押さえることができます。

バケツの準備ができたら、水を抜くためのホースを、水槽に入れます。このときに、水に入れるホースの長さを、長めにします。こうすると、ホースの大部分が水に沈むために、ホースのなかに沢山の水を呼び込むことが出来るからです。

 

2.ホースの出口を塞ぎながら水槽から引き出す

サイフォンの原理で掃除#2ホースの出口を指で潰すか、あるいは穴に指で栓をして、ホースを密閉します。そして、その状態のまま、ホースを半分ほど水槽から引き上げます。このとき、ホースの出口が閉じられているために、ホースのなかに溜まっていた水が、ホースと一緒に水槽から引き上げられます。ただし、ホースの出口をしっかりと閉じていないと、隙間から空気が入ってしまうため、ホースの中の水は水槽に戻ってしまいます。ホースの口をしっかりと潰すか、指を水で濡らしてから栓をするなどして、きちんと密閉しておきましょう。

 

3.ホース折り曲げて、出口をバケツに向ける

サイフォンの原理で掃除#3ホースを密閉した状態のまま、出口をバケツのなかに誘導します。このとき、ホースの中の水もそのまま誘導されますので、このホース内の水面が、水槽の水面よりも下に来るようにします。 つまり、前述の「ホースを利用して水の経路を作る/(4)ホース内の水の動き・その2」の状態を作り出してやるわけです。これで、サイフォンの原理が発動する条件が整いました。あとは、バケツのなかで塞いでいたホースの出口を開放してやれば、水槽の中の水が、ホースを伝わって、どんどんバケツのなかに流れ込むようになります。

 

4.水槽内のゴミを吸い出す

サイフォンの原理で掃除#4ホースの先を誘導して、なるべく水槽の底に溜まっているゴミを吸い出しながら、水をバケツに移します。このとき、もう一方の手で、ホースを適度に潰すことで、吸い出す水の勢いを調節してやることができます。もし砂利を吸い出してしまった場合は、慌てずにホースを強く潰せば、水がほとんど吸い出されなくなるために、ホースのなかに入ってしまった砂利は、重さで水槽のなかに戻ります。バケツまで吸い出してしまった砂利については、後で軽くすすいでから、水槽に戻しましょう。

 

5.ホースを水槽から抜く

サイフォンの原理で掃除#5バケツがそろそろ一杯になってきたら、ホースを潰して水の吸い出しを止めます。そのあと、水槽からホースを抜き出して、ホース内に残っている水をバケツに捨てれば、作業は完了です。くれぐれも、ゴミの吸い出しに夢中になって、バケツを溢れさせないように注意しましょう。水槽から抜き出す水の量が多い場合は、無理をせずに、数回に分けて作業をしましょう。