金魚の各部名称
鰭(ひれ)の名前
すべての金魚に共通している鰭として、胸鰭(むなびれ)が2枚(左右に1枚ずつ)、腹鰭(はらびれ)が2枚(左右に1枚ずつ)、尻鰭(しりびれ)が1枚または2枚(左右に1枚ずつ)、尾鰭(おびれ)が1つ、の計6(7)枚あります。背鰭(せびれ)のみ、ある金魚と無い金魚に分かれています。
尾鰭が2枚以上のもいる、と思うかも知れません。実際琉金では、その尾鰭の形から「三尾(みつお)」「四尾(よつお)」などと呼ばれることもあります。しかしながら、このように複数に見える尾鰭の金魚も、体の付け根のところをよく見てみると分かるのですが、すべて1つです。生えている途中から、鰭が分かれているために、複数枚の尾鰭があるように見えているだけです。
鰭の数がこうなっていない金魚というのも、いることはいるのですが、通常は奇形として選別の対象になります。金魚自体が、祖先の鮒に比べればすべて奇形なのですが、鰭の数が異なるような奇形については、金魚の遊泳能力を大幅に低下させる原因でしかなく、背鰭を除き、鑑賞上の価値が見いだせないためです。
鰓(えら)と鰓蓋(えらぶた)
間違えやすいのですが、外から普通に見える位置にあるのは、鰓蓋です。鰓とは、鰓蓋の内側にある、赤い櫛のようになっている器官のことです。外から直接見ることはできません。金魚がぱくぱくしているときに、鰓蓋の隙間から、かろうじて見える、程度です。
金魚は、ここで主に血液中に酸素を取り込み、二酸化炭素をはき出します。ちょうど、人間の肺と同じような役割を果たしています。大量の血が流れているため、金魚が生きているときは、鮮やかな赤い色をしています。しかしながら、死んでしまうと、血流が無くなってしまうために、どす黒く変色します。
また、「プランクトンを鰓で濾しとって食べる」と言われることがありますが、正確には、鰓の奥に付いている鰓耙(さいは)という器官で行われています。鰓そのもので行われているわけではありません。
その他
金魚の外側から、比較的一般的に見られる特徴をまとめておきます。
側線(そくせん)
金魚の体の横をよく見ると、頭からお尻まで続いている点線があります。金魚は、この部分を使って、水中の音を聞くことができます。そのほかにも、水圧の微妙な変化や、水温の変化も捕らえることができる、とも言われています。これは、金魚に限らず、魚一般が持っている器官で、ほかに内耳(ないじ)と呼ばれる、れっきとした耳もあるのですが、音(特に低音)は、この部分を使った方が、良く聞こえるようです。
鼻
口の上に、小さなくぼみがあります。いかにも鼻らしいところですが、その通りで、その部分が鼻になります。嗅覚は、どの程度敏感なのかはっきりとしたデータがあるわけではないのですが、かなり敏感らしい、というのが通説になっているようです。
金魚によっては、この鼻の周りの皮膚が変形して、房のようになっている種類もあります。このような金魚は、もととなった種類の名前に、花房、という接尾語をつけて、○○花房と呼ばれています。
肉瘤(にくこぶ)
金魚のなかには、ランチュウや和蘭獅子頭、東錦など、頭の部分がごつごつと盛り上がっているものがいます。この盛り上がっている部分のことを肉瘤(にくこぶ)と言います。「にくりゅう」と発音する人もいます。脂肪のかたまりが付くために、このような形状になっています。
肉瘤には、ランチュウのように頭部全体に付くものと、丹頂のように、頭頂部のみに集中するなど、偏って付くものがあります。水疱眼については、頬にある袋の中は脂肪ではなく、リンパ液ですので、肉瘤とは違います。