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体色と模様

水槽を泳いでいる金魚を、ぱっと見たときに、まず目に入ってくるものといえば、ひらひらとした鰭と共に、その豊かな色彩ではないでしょうか。そんな、金魚を最も印象づける要素とも言える、体の色と模様についてまとめました。

金魚の色を決める要素は、主に二つあります。一つは、金魚の胴体を覆っている鱗(うろこ)の色、もう一つは、金魚の胴体そのもの(真皮・しんぴ)の色です。犬や猫などにたとえると、鱗の色は毛の色に、真皮の色は地肌の色に相当します。金魚がどのような色や模様になるのかは、この二つの要素が絡み合って決まります。

 

普通鱗と透明鱗

金魚の祖先、フナの鱗は、不透明の鉛色をしています。ところが、長年品種改良が続けられた金魚の鱗は、実に様々な色をしています。金魚の鱗は、大きく分けると、透明度が低い普通鱗(ふつうりん)と、向こう側が透けて見える透明鱗(とうめいりん)の二種類に分かれます。普通鱗には、赤〜オレンジ〜白、黒、濃い青、などなど、じつに様々な色がつきます。また、透明鱗の方も、完全な透明から半透明の乳白色まで、いろいろなバリエーションがあります。

ただし、これらのバリエーションが現れるのは、通常は生まれて最初に持つ鱗のみです。一般的に、魚の鱗は、何かにぶつかったり病気にかかったりしたときに、体から剥がれ落ちることがあります。鱗は魚にとって身を守るための重要なパーツなので、剥がれてしまった場所には、通常数日〜数週間で替わりの鱗が生えてきます。ところが、金魚の場合、この生え替わってくる鱗が、生まれたときに持っていた鱗とは異なり、かなりの高確率で白い普通鱗になってしまうのです。こうなると、いくらカラフルな模様をしていた金魚でも、剥がれた場所に白い点ができてしまうため、一目で問題があったと分かってしまいます。ペットとしてかわいがる分には関係ないのですが、鑑賞や、特に品評会が目的の場合は、鱗を剥がしてしまわないように十分注意しましょう。

 

素赤(すあか)

素赤全身がオレンジ〜赤色一色の金魚を指します。一色といっても、全身均一の色ということはほとんど無く、一般的には背中側が濃く、腹側が薄く、各鰭の先端は白っぽくなります。また、この赤色は鱗の色ですので、成長と共に色が薄く抜けたり、真っ白になってしまったりすることが多いです。右の写真は、素赤の琉金(りゅうきん)です。

 

白(しろ)

白全身白色の金魚は、昔は商品価値無しとされていましたが、最近は逆に色がないことで周囲の環境や照明に合わせやすいためか、人気があるようです。また、同じ白でも発色の仕方はいろいろで、普通鱗で真っ白な個体の場合と、透明鱗で真皮が白色の場合とがあります。後者の場合は、白というよりはミルク色に近い発色になりやすいようです。また、白とは別に「色が無い」という特殊な場合があり、このような個体は「アルビノ」と呼ばれています。魚体の色素そのものが欠損しているために、色が白く見えます。ぱっと見は、通常の白い個体と見分けが付きませんが、目の色を見ると区別ができます。通常の白い個体は、目の色は黒ですが、アルビノ個体は全身の色素が欠損しているため、目の色が赤く見えます。右の写真は、白和蘭獅子頭(しろおらんだししがしら)の当歳魚です。まだ多少赤い色を残しているものもいますが、成長と共に消えることが多いため、白とされています。

 

黒(くろ)

黒ランチュウ黒色の代表格は、やはり出目金(でめきん)でしょうか。他にも、和蘭獅子頭(おらんだししがしら)や蘭鋳(らんちゅう)など、丸型、樽型の金魚で黒い色をしたものが出回っています。赤色と同じく、この黒色は鱗の色ですので、たいていの場合、成長と共に退色していきます。この黒色を鮮やかに保つのはかなり難しく、三歳を超えて大きく成長させた漆黒の出目金などには、びっくりするような値札がつくことがあります。右の写真は、黒蘭鋳で、じつに見事な漆黒です。

 

更紗(さらさ)

更紗和金普通鱗で、一部が赤、一部が白い色をした金魚のことを、更紗といいます。また、金魚の種類と合わせて「更紗○○」という呼ばれ方もよくされます。「更紗和金」といえば「紅白の和金」、「更紗琉金」であれば「紅白の琉金」といった具合です。紅白という色使いはお目出度いことから、人気のある模様です。右の写真は、更紗の和金です。

 

三色(さんしょく)

キャリコ琉金「モザイク」や「キャリコ」と呼ばれることもあります。透明鱗を持ち、白地の真皮に、青、黒、赤の三色が細かなモザイク状にちりばめられた模様を指します。オリジナルは三色出目金なのですが、模様が複雑で見た目も美しいことから、現在では様々な品種に派生しています。ちなみにキャリコ(calico)とは、元々は「キャリコ琉金」という品種のことを指した言葉です。三色出目金と琉金を掛け合わせて作られた金魚で、作出は日本で命名をアメリカ人が行った珍しい例なのですが、語感がよいせいか、派生先の品種でも三色模様をキャリコ模様と呼ぶことが多いようです。右の写真は、キャリコ琉金の当歳魚です。

 

桜(さくら)

桜色更紗が普通鱗で紅白の発色をしているのに対して、透明鱗で真皮に紅白の模様が入っている場合を、桜色といいます。桜というと白っぽいピンクを思い浮かべる人が多いかと思いますが、金魚の色で桜と言った場合は、もっとずっと赤っぽい色を指します。色合いとしては、紅白の更紗を少し淡くした感じです。透明鱗を通して見るため、赤い色が淡く見えるのです。こちらの色も、更紗と同様、金魚の種類と合わせて「桜○○」という呼ばれ方をされますが、それが新しい品種名になっている場合も多いです。たとえば、私が飼育している「桜東(さくらあずま)」は、もともとは「桜色をした東錦(あずまにしき)」のことですし、「桜錦(さくらにしき)」は「桜色をした江戸錦(えどにしき)」のことですが、いずれもそのまま品種名として通っています。右の写真は、桜東です。

 

六鱗(ろくりん)

こちらは、ちょっと特殊な模様につけられた名前で、地金(じきん)の代名詞にもなっている模様です。胴体の色は白で、鰓蓋のほか、背鰭、胸鰭、腹鰭、尻鰭、尾鰭の六カ所に赤い色が付いていることから、六鱗と名前が付いています。この模様は、自然発色の模様ではありません。鱗が生え替わる時に白色になってしまうことを逆手に取り、もとは素赤や更紗模様である地金の鱗を、幼魚のうちに一度全て剥いでしまうことで、胴体のみを真っ白にしています。

ほかにも、南京(なんきん)などにこのような手法を用いることがありますが、地金以外の金魚の場合は、一部分の鱗を剥ぐことで、意図した模様にする場合が多いようです。

 

その他

青(あお)
青といっても、空のような鮮やかな青ではなく、灰色がかったくすんだ紺色か、濃青がかった銀色になります。三色のように真皮の一部の色として現れる場合と、青文魚(せいぶんぎょ)に代表されるような、鱗の色として現れる場合があります。鱗の色の場合は、どちらかというと鉛色に近いでしょうか。
茶金茶色(ちゃいろ)
赤、黒、白が混じりあった、濃い小豆色の発色になります。茶色の金魚の代表格といえば、やはり茶金(ちゃきん)でしょうか。右の写真は、茶金の当歳魚です。
黄色(きいろ)
金魚の黄色は、かなり鮮やかな黄色として発色します。こちらも、青の場合と同様、真皮に現れる場合と、鱗に現れる場合があります。この黄色に赤みが混じると、オレンジ色の発色になります。
緑(みどり)
比較的近年になって登場した、新しい色です。黄色と青色が混ざることで、印象的な深い緑色が発色します。さまざまな試行錯誤と交配をくりかえすことで作出された色で、この新品種はオーロラと名付けられました。現在のところ、この色を持つのは、このオーロラ一品種のみですが、発色が安定するようになれば、今後さまざまな品種に派生していく可能性があります。

 

人工的な着色

最近はあまり見かけなくなりましたが、一時期、蛍光ピンクや蛍光紫などの派手な色の金魚が売られていたことがありました。これらの色は、金魚の元々の色ではなく、あとから人工的に付けられた色です。具体的には、透明鱗を持つ白色の金魚に、蛍光塗料などを皮下注射することで、色を付けています。私の知る限りですが、見た目の珍奇さとマッチするという理由からか、珍種鱗(ちんしゅりん)という金魚(パールスケールやピンポンパールとも呼ばれている)が、よくこの色づけをされて売られていました。最近見かけないところをみると、やはりいろいろ問題が出た(予想ですが、すぐ死んでしまったり、成長と共に色が抜けたり汚らしい斑になってしまうといった商品上の欠陥と、動物愛護の精神から逸脱した倫理上の問題が出た)のではないかと思います。