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餌のあげ方

餌をあげるのは、金魚の飼育のなかでも、とりわけ楽しいひとときではないでしょうか。

金魚の餌探し

金魚を飼っていると、水中をふわふわしている時間よりも、底砂利や水草をつついたり、給餌場のあたりでうろうろ、ぱくぱくしている時間のほうが長いんじゃないだろうか、と思うときがあります。実際のところ、餌をあげた直後でもない限り、金魚は本当に四六時中餌探しをしています。

金魚には、他の多くの魚や動物が持っている胃袋がありません。食べた餌は、口の奥にある骨のところで砕かれてから(金魚が餌を食べた直後に、しばらくもごもごしているのはこのためです) 、すぐに腸に送られます。一説では、胃袋がないために、金魚には満腹感がないのではないか、とも言われています。ともあれ、胃袋がないと言うことで、金魚が一度に多量の餌を食べられないのは確かです。そのため、ちょっと食べて、休んで、またすぐにちょっと食べて、を繰り返すことになります。ちょうど人間でも、赤ん坊や子供が、胃が小さいために多量に食べられないため、1日に3度の食事だけでは不十分で、何度かに分けて(たとえばおやつなど)食べるのに似ています。

しかしながら、「金魚を飼う前に−金魚の養生」でも触れましたが、金魚と人間とは根本的に違います。金魚が、何週間も、時には何ヶ月も物を食べなくても生きていけるのを見ても分かるとおり、金魚が生命を維持するために必要な餌の量というのは、実はかなり少ないのです。

にもかかわらず、大抵は金魚は「大食漢」だと言われています。実際のところ、金魚はとてもよく食べます。では、その食べた物はどうなっているのかというと、金魚の体を構成する材料にまわされるか、人間と同じように、脂肪として蓄積されて、太っていきます。それでも余った分については、消化がしきれずに、そのまま糞となって出ていきます。

以上のことから言えるのは、金魚に餌を与えれば与えるほど、金魚の体は大きく太くなり、また未消化の糞が大量にでて、水をどんどん汚してゆく、と言うことです。その結果、金魚にとって水槽がどんどん狭くなり、動けなくなるのでどんどん太り、水は汚れる一方で、ついには健康を害して、ぽっくりと逝ってしまいます。金魚が餌を探しているのは、狭い水槽内ではいい運動だと割り切って、1日に与える餌の量は、きちんと管理するようにしましょう。

 

餌の適量は?

餌の種類については、「金魚を飼うのに必要な物(3)〜餌」の項にまとめてあります。では、餌はどのぐらいの量をあげればいいのでしょうか。金魚の餌の量は、おおよそ次の条件によって左右されます。

  • 金魚の大きさ
  • 水温
  • 水槽の大きさ

水温が25℃前後を基準として、人工飼料の粒状の餌で小粒のものを、鮒型の金魚なら体長1cmあたり1〜2粒程度、丸形、樽形の金魚で2〜3粒程度になるように与えるのが、ちょうどいいぐらいでしょう。これで、おおよそ金魚の頭の5分の1程度になります。1回の給餌につき、この量を、1日あたり1〜数回与えます。ただし、「普段は1回5粒を1日3回あげているけど、今日は忙しいから、朝1回で15粒あげる」と言うように、一度にまとめてあげるのは絶対にだめです。すでに述べたとおり、金魚は「食いだめ」ができませんので、食べきれずに残してしまい、餌が傷むだけです。傷んだ餌を金魚が食べれば、消化不良で健康を崩しますし、食べなければ腐って水を汚しますので、やはり健康を害します。こういう場合は、朝1回5粒あげて、あとは餌を抜くようにしてください。無理にあげて健康を害してしまうよりは、よほどましです。

天然飼料について、フリーズドライの物は、見た目よりも身が詰まっていますので、上の半分〜 3 分の 2 程度の量にしてください。生き餌や冷凍餌の場合は、上の量よりも気持ち多めぐらい、が適量になります。ただし、生き餌や冷凍餌は、金魚が本当によく食べますので、くれぐれも与えすぎないようにしてください。食べ過ぎて下痢を起こすことがあります。

 

水温による餌の量の変化

水温については、餌をあげる時よりも、消化している最中の方が重要です。餌を食べてから数時間後の水温を予測して、その水温のとき、で考えてください。一般に明け方から昼にかけては、水温は上がってゆき、夜は水温は下がります。特に冬場など、不安があるようであれば、夕方以降は餌を与えないようにした方が賢明です。

では、実際に水温が上下した場合は、どうすればいいのでしょうか。おおむね、下は22〜23℃ぐらいから、上は30℃手前ぐらいまでの間であれば、通常25℃の時と同じ量で構いません。水温が30℃を越えたあたりから、金魚は暑さでバテ気味になります。そのため、食べる餌の量も減ってゆきます。あげる量は、通常の3分の2ぐらいに押さえておくといいでしょう。

では、下はどうかというと、これがかなり難しく、餌の種類や、金魚の個体(つまり金魚一匹ずつ)それぞれで、ちょうどいい量というのが変わるほどです。これは、低温では金魚の餌を消化する能力が極端に落ちていくためで、消化器系の強い個体では、それなりに食べられても、弱い個体では、すぐに下痢などをおこすことがあるためです。また、餌の種類については、人工飼料であれば、それほどばらつきはないのですが、消化のしやすい物としにくい物があるため、これも足を引っ張る原因となります。そのため、ここでは、低温時にあげられる餌の量としては、おおよその値しか書くことができません。典型的には、

  • 水温が20℃を切るようならば、通常の3分の2程度とする。
  • 水温が15〜18℃で、通常の半分程度を、1日に多くても2回とする。
  • 水温が10〜15℃で、通常の5分の1〜3分の2程度を、1日に1回とする。
  • 水温が10℃を切るようであれば、給餌しない。

といったあたりでしょうか。あとは、これを基準に、各人が調節してみてください。参考までに、私が以前飼っていた琉金の中に、転覆症(金魚がひっくり返ってしまう病気)ぎみの個体がいて、これの場合は、13℃を切っているときに餌を食べると、あっさりとひっくり返ってしまうために、上では10℃としていますが、このときは13℃を切ったら餌を与えないようにしていました。

金魚がきちんと餌を消化できているかどうかは、糞を見ることで判断できます。通常の細長くてしっかりした糞であれば、問題なく消化できています。消化不良を起こしたときは、糞が妙に細切れになって出てきたり、半透明の白っぽい粘膜が付いていたり、糞の中に泡が混じっていたりします。また、私自身は見たことがないのですが、肛門の周りが赤く腫れたようになることもあるようです。消化不良を起こした場合は、2〜3日は餌を与えずにおき、その後、以前よりも量を減らして給餌してみてください。それでも直らない場合は、その個体がその水温では餌を消化できないのか、または餌そのものが古くなっていたんでいるのかのどちらかです。餌を新しくして直るようであれば、古い餌は、ばっさりと捨ててしまいましょう。

 

水槽の大きさによる餌の量の変化

水槽の大きさと餌は、一見関係がなさそうに見えますが、じつは水温と並んで、餌の量を左右しなくてはならない、重要な要素になります。すでに述べましたが、金魚は、餌を与えるほど大きく太くなり、水もどんどん汚れてゆきます。水槽が十分大きければよいのですが、狭い水槽や、ぎりぎりの大きさで多数を飼っている場合は、どうなるでしょうか。

まず、金魚が大きくなれば、それだけ相対的に水槽は小さくなります。餌を一粒あげるごとに、水槽の壁をじわじわ縮めているようなものです。また、小さな水槽では、金魚は十分に運動できず、肥満が慢性化してゆき、病気にかかりやすくなります。水の量も少ないため、同じ量の糞をしても、水質が急激に悪化してゆき、これも金魚が病気にかかる原因になります。

では、実際にどのぐらいの大きさならばいいのでしょうか。「金魚を飼うのに必要な物 (1)〜飼育容器−何はなくともまず水槽」でも触れていますが、体長1cmあたり3リットルあれば、だいたい普通通りにあげても問題は起こりません。これよりも少ない量で飼っている場合は、それに合わせて、一度に与える餌の量を減らし、1日の給餌の回数も減らすようにします。1cm あたり1リットルは、ある意味ぎりぎりの線になりますので、与えられる餌の量も、一度に半分がせいぜいで、それも1日に1回が限度でしょう。この量だと、金魚にとっては、生きていけるぎりぎりの量になりますので、大きくは育ちません。かわいそうですが、多く与えて病気を誘発して、お星様にしてしまうよりはいいでしょう。どうしても、と言う場合は、水槽を大きいものに変更するか、水槽の数を増やして金魚を分けて飼うことで、余裕がでるようにしてあげましょう。そうすれば、金魚はすくすくと大きく育ってくれます。

 

餌で金魚はどこまで大きくなるのか?

金魚は、餌を十分に与えれば大きくなると言いましたが、実際のところはどこまで大きくなるのでしょうか。これは、金魚の種類によって大きく変わります。和金や和蘭獅子頭などでは、30cmを越えるような大きなものもいますが、普通は大きくても20cm程度でしょうか。また、目立って成長するのは、せいぜい三歳ぐらいまでで、それ以降は、成長速度が落ちます。

もし大きい金魚を育てたいのであれば、当歳から二歳ぐらいの間、特に「黒子」と呼ばれる、まだ生まれて間もないうちに、どれだけ十分な餌を与えることができるか、にかかっています。十分な大きさの水槽と、暖かい水温、一日4〜5回の給餌で、金魚は驚くほど大きく成長します。初心者のうちは難しいでしょうが、金魚の飼育になれてきたら、卵から育てる過程で挑戦してみるのもいいかも知れません。